「少しは良くなった?」
「うん・・大分・・」
麻衣子は自室のベッドに横になったまま、力のない笑顔を返す。彼女とMは学生の頃からの恋人同士だ。
麻衣子が発病したのは半年前、Mが登山中の事故から奇跡的に生還した少し後のこと。
「さっきはゴメンね。病院いく途中で道の真ん中にへたりこんだりして・・」
「気にすんな。」
「この病気の治療法はまだ見つかっていないって先生が教えてくれたの・・もうすぐお別れかも・・」
「あの医者、そんなことを!?」
「無理に聞いたの・・知ってたでしょ?」
「・・あぁ・・」
「ひとりで辛い思いさせちゃったね・・」
「・・ゴメン、外の空気吸ってくる・・」
Mはいたたまれなくなって、部屋を後にした。
庭に出て気持ちを鎮めようと目を瞑る。
「君の悲しみが、直に伝わってくる・・」
もうひとつの意識が労うように語りかけてきた。
「俺は・・あなたに怪獣や異星人から街や人々を守れる力をもらった・・なのに、一番大切な人を救えない・・!!」
ギリギリと歯を軋ませる音が、光の英雄の心を突き動かす。
「・・闘いに行くか?」
「・・え?」
「敵は大勢・・しかも数分のうちにほぼ同時撃破しなくてはならない。あそこは、わたしには勿論のこと君にとっても未知の領域だ、光さえ届かない。失敗すれば君の命も・・そう思い、黙っていたが・・」
「・・可能なのか?」
「君とわたしの想い、それに彼女の生きる意志が合わされば・・。敵は、外宇宙から地球を狙ってくる侵略者と変わらない。大勢の人の命を救おうとする勇気も、たった一人を助けたいという願いも大切さは同じだ。」
Mは、迷わず闘いの地へ赴くことを選んだ。決戦は今日の深夜・・2人が闘おうとしている敵とは・・?
そして、光すら届かないという闘いの場所とは・・?
「敵は○○○○、闘いの場所は□□□の□□」に合わせてお答え下さい。
○は全て小文字以外のカタカナ、□は全て漢字で文字数も一致します。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
【解説】
A.「敵はウイルス、闘いの場所は麻衣子の体内」
「君が一番望むものを・・デュワ!」
Mは人間大のまま光を纏った。
そして、無数の光の粒子に変化すると、暗い部屋の窓を透りぬけた。
時折苦しげに表情を歪めるも、麻衣子が眠っていることを認めると、光の粒たちがその身体を包みこむ。
Mは麻衣子のなかに満ちた・・
朝、麻衣子は爽快な気分で目覚めた。
窓を開くと晴れ渡った空が心地よい。
ふと下を見る。疲れ気味の顔でこちらを見上げるMの姿があった。パジャマ姿にサンダル履きで庭に出た麻衣子にMが笑いかける。
「一緒にドライブでもどうかなって。」
不意に現実とはとは別の記憶が甦る、抗いようのない衝動にかられ、麻衣子は思わずMに抱きついた。
「ど、どした・・?」
「・・昨夜、光の巨人がわたしのために、何か怖いものと闘ってくれる夢を見たの!」
「へ、へぇ~・・子供がうらやましがりそうだな。」
「でも・・もう一人いたの・・わたしを守って闘ってくれたヒーロー!」
麻衣子はMの分厚い胸板にギュッと鼻を押し付けた。
「ふうん・・? 巨人のほかに・・?」
「(キズだらけにされながら、最後まで一生懸命守り抜いてくれたよね・・わたし、ずっと応援してた・・!) 早くごはん食べて出かけよう! わたし、久しぶりに海が見たい! 光の下であなたと一緒に力いっぱい駆け回りたい!」