推理クイズ・ミステリークイズまとめ

推理クイズ・ミステリークイズで頭の体操を!

【ミステリークイズ】小さな脅威

ある惑星で、地球侵略の計画が練られていた。

「怪獣を尖兵とし戦力を集中させ、その間に占領を進めます。」

若い参謀の説明に、司令官が問う。

「地球には防衛隊の他に光の一族もいる。過去、同じ作戦で失敗した例も聞くが?」

ここぞ出番と、老練な参謀長が立ち上がった。

「敗れた星の者は物量不足でした、怪獣を百匹も連れて行けば負けませぬ。」

「一理あるが、それだけの数をどう連れて行く? 長距離亜空間航行が可能な船は僅か3隻、積載スペースは足りぬだろう。建造するにも時と費用がかかり過ぎる。」

参謀長が得意げに身を乗り出した。

「心配無用。司令官は掌サイズの怪獣の存在をご存知かな?」

「何、そんなに小さな生物がいるのか? いや、知らぬ。」

「もう少し、勉強なされた方が・・いや、私めが生物に詳し過ぎるのですかな。」

「だまれ、余計なことを。そいつらを百匹連れていくと言うのか? そんなものに尖兵が務まるか?」

「彼らは大きさの割には十分凶暴、攻撃力もあります。要は地球に着いてから巨大化させればよいのです。」

「フム・・」

「先行部隊を送り込み、地球各地の山中に百余りの地下秘密基地を建造、そこへ生物を何万倍にも巨大化させる特殊飼料を運び込む傍、別働隊が近辺の星で怪獣を捕獲します。生息数が少ないので時間はかかりましょうが、同時進行なら無駄も少ないかと。」

「なるほど。数が揃い次第、まとめて地球へ運び、各々の基地で一斉に巨大化させる、か。これは盲点だ。よし、その案を採用してやる。」

かくして、先行部隊が地球に送りこまれた。地下秘密基地は完成し、宇宙船からの特殊飼料運搬も済んで、後は怪獣を連れた本隊の到着を待つばかりとなった頃・・

『大変です! 大勢の地球人が武装して基地の周辺をとり囲んでいます!』

『異常発生! 定期検査で特殊飼料の一部が消失していることが判明!』

『緊急事態! 溶解液を撒き散らす黒い悪魔が基地に侵入! ギャー!!』

先行部隊から母星の作戦室へ、こんな通信が立て続けに届くようになった。

「な、何が起こったというのだ・・!?」

作戦室では、参謀長が訳もわからないまま冷や汗を流していた。

異星人の侵略作戦を邪魔する者の正体を、カタカナ2文字で答えてください。 

 

 

※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

A.アリ

 

それからしばらく経って、作戦室に写真付の報告書が転送されてきた。

「こ、この巨大生物は・・!?」

驚愕する参謀長の肩に、司令官がポンと手をかける。

「地球のある島国では『アリ』と呼んでいるそうだ・・地中に迷路状の巣を巡らし、そこに食料を運んで貯蓄する性質を持つとある。こいつらに、特殊飼料を盗み食いされたばかりに騒ぎとなって、地球人どもに感づかれるわ、基地はどんどん襲われて壊滅状態だわ・・私とお前は軍法会議行きだ、ハァ・・」

「し、しかし、なぜ!? 基地の警備は厳重だったはず・・!」

「続きだ・・攻撃性強く、頑丈な顎と『ギサン』という溶解液を持ち、自分より巨大な相手を倒すこともある。特筆すべきはもともとの大きさで、数ミリから大きなものでも数センチ・・我々の星の周辺にこんな生物はいないものなぁ・・完全に見逃していたらしい・・本当に盲点だよ、参謀長・・・」