うぅ・・・寒い。もう秋も終わり冬が近づいてるのが身にしみて分かる。周りを見渡せばコートやマフラーをしている人々が大勢いる。私も、もっと厚着をしてくればよかったと今更ながら後悔をした。
横を見れば、車道では様々な車が行き来している。排気ガスを撒き散らして地球環境をさらに悪くして、一体人間は何を考えているのだろうか・・・。
と、その車道からひとつの車が歩道に近づいてきて10メートル前で止まった。よく見ればタクシーのようだ。
そこから降りてきたのは、高校時代の親友の大場忠之であった。遠目からでもすぐ分かる、昔はほとんど365日一緒にいた奴だからだ。だが、かれこれ10年以上会っていない。
私は思わず大声で言った。
「おーい!忠之じゃないか!」
それに気づいたのか、忠之は後ろを振り向いた。だがその顔は今まで見たこともない形相であった。昔、他校の奴とケンカした時と同じ様な目で私を睨んできた。そして、キョロキョロと周りを見渡し、何事もなかったかのようにどこかへ行ってしまった。
私は呆然としながらも何か不機嫌なことでもあったのだろうと頭を切り替え先を進んだ。
30分たっただろうか。私は誰かに名前を呼ばれ後ろを振り向いた。そこにはニコニコした顔で私の名を呼ぶ忠之がいた。
30分前の忠之とはまるで別人だ。何か憑き物がとれたような、そんな感じさえした。
「忠之、お前タクシーでここまで来たよな?」
「え?よく分かったな。」
やっぱり別人ではなかった。
「お前、確か車の免許持ってたよな。まだ車持ってないのか?それとも故障してるのか?」
「持ってるし、故障もしてないよ。実はな・・・・」
私は、忠之の話しを聞いてようやくすべてが分かった。
さて、なぜ忠之は無視をしたのでしょうか?
○○だったから ○だけお答えください。漢字のみ
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
【解説】
A.近眼
「実は、俺高校卒業してから目が悪くなっちまってさ、ずっとコンタクトレンズしてたんだよ。かなりひどい近眼で5メートル前もぼやけるくらいなんだ。んで、使ってたコンタクトがどっかいっちゃってメガネ屋に行ってきたんだ。そしたら、その帰りにお前がいて声をかけたのさ。」
「なるほど、そういうわけか・・・。」
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんでもないよ。それより久々に飲みに行かないか?」
「お、いいねぇ。おごってくれるの?」
「バカ、割り勘だよ・・・いくぞ。」
そう言って俺たちは歩き出した。まるで高校時代に戻ったかのように・・・。