x市で殺人事件が起きた。
被害者は仰 尊(あおぎ たかし)、45歳。某自動車会社の社長で、超大金持ちである。死亡推定時刻は23時から1時位とみられている。大豪邸に妻と二人で住んでいて、警備員も何人か雇っているという変わり者だ。
第一発見者は、そんな警備員のうちの一人、師恩 蛍雪(しおん けいせつ)28歳だ。以下は、師恩氏の話である。
「私は、仰家の警備の夜番をしていました。
毎夜すべての部屋を懐中電灯片手に見回るんです。
特にあの日は、雲が出ていて月光が入ってこなかったんで、とても暗く、少し怖かったです。
暗いのには慣れているつもりなんですけど。
それで、尊さんの部屋に入りました。するとすぐに異変に気付きました。
いびきの音がしないのです。
変だな、と思って尊さんのベッドのほうに懐中電灯の光を当てました。
すると、血が流れているのがわかりました。懐中電灯の光でもすぐわかったんです。
私は思わずわっ、と声をあげてしまいました。すると、窓のカーテンが揺れました。
もしかしたら犯人が逃げたのかも、と思いました。
それで、カーテンのほうに光を当てると、人の影が見えたんです。
急いで窓に駆け寄り、窓の外を見ました。
しかし、犯人の姿はありませんでした。
もしかしたら、暗くて見えなかっただけかもしれません。
私は探すのを諦め、警察に通報しました。」
この話を聞くと、外部の犯行のように思えるが、捜査員たちは師恩が怪しいと思っている。
なぜなら、師恩の話には決定的な嘘があるからだ。
その嘘とはいったいなんだろう?
師恩の話の中から一文(句点を含む)を抜き出してほしい。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
【解説】
A.それで、カーテンのほうに光を当てると、人の影が見えたんです。
こちら側の光が、あちら側の者の影を映すわけがない。