ある日の夜、二階建ての住宅に住む女性から泥棒が侵入したという電話が警察にあった。その電話主の自宅へ向かうと、二階の窓ガラスが大きく割れて、電気が点いていたのが玄関先から見えた。すぐさま中に入ると、さっき見た窓ガラスがある部屋で頭を殴られた女性が横たわっていた。そばで革手袋を嵌めた夫らしき男性が座りながら涙を流していた。だが、誰か来たことに気づいたのか泣くのをやめ、ゆっくりと立ち上がった。
「警察の…人ですか。」
「はい。通報を受けたのでやって参りました。」
再び男性は泣きだしてから、話し始めた。
「妻を早く、病院へ…お願いします!」
「今、救急車を呼びますから落ち着いてください。」
男はもう正気でないことは誰から見ても明らかだった。
それから一時間後、男性は落ち着きを取り戻した。
「さきほどは失礼な事をして申し訳ありません。」
「いえ、あの状況ではしかたがありませんよ。それより、一つ伺いたいことがあるんですが…。」
「何でしょうか?」
「あなたは奥さんが襲われる前、何をしていましたか?」
「TVをずっと見ていました。それが何か?」
「あなたが自分の奥さんを殴ったんじゃないかと思いましてね…」
「どうしたんですか、いきなり。」
「とぼけんな。お前は自分が犯人だとバラしてるんだよ。今でもそれを着けている奴なんて、普通いないぞ。」
「着けてるって…あ!」
「ようやく気づいたようだな。」
「……。くそ。」
その後、男は殺人容疑で逮捕され、懲役五年の刑を受けた。
問 文中にあるそれとは何か三文字で答えてください。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
【解説】
A.革手袋
文章を見てみると男性の事件前の行動が分かります。
彼はテレビをずっと見ていたと言っていました。
だから、革手袋なんて着ける理由なんてあるわけがありません。
さらに問題文から彼は彼の奥さんの近くにいた時には革手袋を着けた状態でいたことも伺えます。
だから、答えは革手袋ということです。